○市民サービスセンター「コア・よか」              鹿児島県霧島市

 

1.「コア・よか」の概要

 

・市民会館、デパートなどの集合する市繁華街の中心に商工会議所のテナント経営するビ

 ルがある。1階部分にはブティックなどが入っている。その2階部分を市が商工会議所

 から賃借する形で、「コア・よか」を開設している。

・業務は市役所市民課、税務課の窓口業務のほか、地域包括支援センター、ファミリー・

 サポート・センター、貸室事業。

・これら、市ではそれぞれ別部門に属する業務を市民の利便のために繁華街のビルに集結

 させ、土日や平日の夜の時間帯など、市民の利便向上に資している。

・「コア」とは中心、核という意味、「よか」は鹿児島弁で良いという意味。町の中心にあ

 る良いところ、という意味合いを込めている。

H19年7月にオープンした。

 

2.国分パークプラザ

 

・霧島商工会議所が少子高齢化等対応中小商業活性化事業として展開している6階建テナ

 ントビル。ビル型駐車場、テナントで構成。隣接するデパートや取り壊されて現在空き

 地となっている土地とも有機的に結びつける構想の一環。

・土地は市有地、建物は商工会議所。市が家賃を払って借りるという形態をとっている。

・正確には、商工会議所←有償貸借→()霧島市しみん学習支援公社←無償貸借→市

 という形態。

 

3.市民サービスセンターの運営

 

・窓口業務は市(市民課)と公社、

 ファミサポセンターは公社(市児童福祉課)

 貸室事業は公社

 地域包括支援センターは市社会福祉協議会が運営を担当している。

・スタッフ

 市職員2、公社職員10(嘱託4、臨時2、保育士4)がローテーション

・休館は年末年始のみ。開館時間は10時から21時、ただし窓口業務は10時から19時。

 

4.窓口業務

 

・収納 各税、介護保険料、保育所負担金、市営住宅使用料

・証明 住民票、印鑑登録証明、戸籍、税関系

・窓口業務は市の仕事であるが、公社に委託し、公社職員は兼務辞令を受けて収納業務を

 担う。

・市役所から300mしか離れておらず、また市役所には住民票等自動交付機も20時まで稼

 動している。この面ではサービスが競合している。

 

5.貸室業務

 

・大中小の会議室、研修サロン1〜3、プレイルーム、交流サロンを備える。

 

6.ファミリー・サポート・センター

 

・保育園送迎、冠婚葬祭や買い物、通院などで子育ての支援が欲しい場合に、お願いした

 い「依頼会員」、援助をする「提供会員」を登録しておき、互いに活用するセンター。

・現在の登録者は依頼会員33名、提供会員24名、両方会員10名の計67名。

・料金は平日7〜19時、30350円、その他の曜日、時間帯は30450円。

・プレイルームを活用して日曜日「ふれあい広場」無料開放、乳児などが自由に使える「親

 子で遊ぼう」のコーナーも開設している。

 

7.地域包括支援センター

 

・市内10の支所を統括する本所として位置づけ。

・業務は介護予防の相談・支援、権利擁護相談、ケアマネージャーの支援。

・本所スタッフは保健師3、社会福祉士3、主任介護支援専門員2、事務員2、計10名。



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8.感想

 

 まず、商工会議所が国の少子高齢化等対応中小商業活性化事業に「手を挙げ」、これが採用されたところから、「コア・よか」の構想が始まりました。

 デパート、商工会議所、TMOそして市役所が緊密な連携のもとでこの構想を実現できたとのことで、冒頭に述べたように、道路向かいのデパートと空中デッキで結ぶ構想、隣接空き地には高齢者用マンションの建築も考えられており、官民さまざまな分野が意思疎通できてこそ、まちづくりのグランドデザインは可能なのだ、と実感しました。

 また市役所庁内的にも、部課を超えた横断的な運営が必須となり、兼務辞令、夜間勤務など本庁タテ割りの仕組みを克服した姿がここに実現しています。

 スタッフの皆さんは「コア・よか」ロゴ入りのお揃いのエプロン姿。市職員であるリーダーは、ここでは「店長」のネームプレートを着用しています。まだオープンして1年を経過しておらず、窓口利用、ファミサポセンターなども利用者が伸びない状況の下、さらにPRに努めたいとおっしゃっていました。ここには市民本位、市民の満足度優先の姿勢が象徴的に表れていたと思います。

 3月議会が終わりましたが、今議会で、次のようなことがありました。

 私(内田)が総括質疑で述べた職員の人材育成で、各課タテ割りの弊害を排して全庁的横断的な人材育成を、と提唱したところ、答弁では「窓口応対の職員マニュアルの中にも、『なるべく他の課の仕事にも精通するように』との項目がある」とのことでした。

 さて本会議に続いたある常任委員会を私が傍聴しておりましたところ、ある部長の答弁で、「本会議での私の答弁は他の部からいただいたものですので(詳しい内容は私は説明できない)」という言い方をされました。これを聞いて、まことに残念な思いでした。

 ここ「コア・よか」の店長さんは、ここで扱うすべての業務に対して、「私は知らない」とは言えないのです。

 常任委員会には部長を先頭に、後に続く若い職員が大勢、後席に控えておりました。それらの後輩たちが「先輩の背中を見て」育ったのでは、まことに心もとないと思いました。

 丸亀市においては、協働推進計画が完成を見て、ほどなく施行されようとしております。

 私は、協働とキャッチフレーズのように言う前にまず、ここに見た「コア・よか」での場面のように、市民に直接触れる現場で、市民の目線で本当に市民サービスに努める、真に協働の名に値する職員の皆さんの自覚を促さなければならないと強く感じます。

 それをいくら訓示的に繰り返しても叶うものではなく、こうした実際の仕組みを創出することこそが確実な方途であると、あらためて申し上げたいと思います。

 私は今議会の総括質疑で、人材育成の場としての「総合相談課」の設置も併せて提唱しましたが、このことと、この「コア・よか」のありさまは、次元は異なりますが、目指すところは同じであると、そのように感じております。

 市民満足度一歩前進へ、「コア・よか」を参考にしていただきたいと思います。

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